高齢者に向けたレクリエーションの健康効果

高齢者の健康増進を目的にして行われているのが気軽に楽しめる頭や体を使ったレクリエーション。普段の生活において高齢者は体を動かす機会が減り、若い頃と比べると筋力の衰えや介護度の進行などの進行が早まってしまいます。総務省が行なった65歳~74歳の1日の時間の使い方に関する調査では、テレビや雑誌、新聞を読むなどの時間が他の世代に比べても圧倒的に多く、その分だけ運動量が減っています。レクリエーションは、こうした高齢者のライフスタイルに適度な運動を取り入れるという大きな役割を果たしています。

また、こういったレクリエーションはリハビリ目的として行われることもあります。寝たきりや認知症の方でもレクリエーションによって他者とのコミュニケーションを活発にとることで、生きがいの創出や生活の質(QOL)の向上ができるのではないか、と期待されています。

リハビリ目的で行われるレクリエーションは作業療法と呼ばれるれっきとした治療法です。レクリエーションがなぜ治療につながるのか疑問に思う方もいるかもしれませんが、病気になると生活の中でふだん私たちが感じている「遊ぶ」「楽しむ」といった心の変化が起こりづらくなってしまいます。そのため、レクリエーションを通して楽しみや充実感、達成感を味わいながら健康的な心を取り戻す必要性があるのです。心が健康になることで、自然と体にもいい影響が出ると考えられています。

さまざまな道具を用いて1人1人に合った治療を行う作業療法は、作業療法士と呼ばれる方々が行なっています。東京医療専門職大学のような作業療法士を育成する大学で学び、国家試験に合格した人でなければなれません。学校でレクリエーションだけでなく、陶芸や手工芸、絵画、木工、革細工、機織りなどさまざまな分野の作業を幅広く学んでいる方々だからこそ、適切な作業療法が行なえるのです。高齢者の心の負担を取り除き、笑顔で楽しみながら行える作業療法はこれからますます需要が伸びていくと予想されています。